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相続の放棄も様変わり 

  • rsb49914
  • 3月8日
  • 読了時間: 3分



2024年4月から相続登記の義務化がスタートし、相続に関する問い合わせが増えています。原則として、被相続人が死亡してから3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料が科されることになったのです。

 一方、相続放棄の相談も増えています。よくあるのが、資産と呼べるものが借地権のついた家だけといったケースです。土地は地主の所有で、本人が家だけをもっている場合です。相続人が引き続ぎその家に住む場合は問題になりませんが、相続人がその家を使わない場合は、土地を地主に返すことになり、多くは、家を潰して、更地にしてから戻すように地主から求められます。昨今の物価の値上がりなどもあり、家の解体費用は高額になります。そこで、相続放棄の相談に来られるということになります。

 改正前の民法では、第940条1項に、相続放棄をした者は、別の相続人に引き継ぐまで、自己の財産におけるのと同一の注意義務をもって相続財産の管理を行わなければならない旨の規定がありました。実際、相続放棄をした子供が親の家をどの程度まで管理することを求められるかはケースバイケースだったと思いますが、台風で屋根が飛んだらどうなるかなど、相続放棄をしても一定の責任がともなうのかどうかが悩ましいところでした。

 ところが、第940条1項が改正され、相続放棄をした者がその相続財産を占有しているときは、自己の財産におけるのと同一の注意義務をもってその財産を保存しなければならないとなりました。つまり、相続放棄したときに占有していない被相続人名義の家を管理する責任が無くなったのです。

 このことのアドバイスを受けた相談者が地主に「家の解体費用が出せないので、家を引き取って、そっちで解体してほしい」と主張しました。地主はあくまでも解体して返すことを言い張り、折り合いがつかなかったです。そうすると、相談者の全員が相続放棄し、家を相続する人はいなくなりました。家に住んでいなかった相続人はその家を管理する責任もありません。結局、地主は、その家を処分するためには、相続財産の清算人の選任を家庭裁判所にするなど、時間と費用を費やして、自分の費用で家を解体することになってしまう可能性が高いです。私が関わったケースで、大阪家裁では相続財産の清算人の選任だけでも100万円の予納金が必要でした。

 また、相続放棄に関しては、死亡した親が田舎の家に名義を持っていたという相談もあります。その他の引き継ぐ財産がなければ、相続人全員が相続放棄によって、その田舎の家は、相続人のいない財産になってしまいます。このケースでは、最終的に処理をするのは、地方自治体か国となる可能性が高いです。社会的にみて最良の解決方法といえるかどうかは疑問ですねえ。

 
 
 

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​萬田司法書士・行政書士事務所 
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